2016年1月4日月曜日

日が高い日。




 新年あけましておめでとうございます。


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「しばらく飲めんだろうな」

 そんな予感があって、湊町のバーでジェイムソンのソーダ割りを次々とあかした帰り道。

 ゾンビメイクの若者の化粧崩れぶりは、「もしかして本当のゾンビかもしれない」と酔った僕の足を止めるほどで、始発に備えた地下道へ吸い込まれていく彼らの姿に、過ぎた日が10月31日ハロウィンであることを知ったのだけれど、朝ぼらけにオープンした自宅長屋の引き戸の先からよもや妻の声が聞こえてくるとは思わず、またその内容に心臓が逆位置になったかと手を胸にバタバタしたのを思い出す。その時確かにこう聞こえていた。

「おしるしきたよ」

 それから入院59時間、LDR(分娩室)30時間のたたかいの末に、無事に息子を授かりました。

 付き添いを終えて病院を出たとき、細工谷の真新しい道に上がった太陽は、僕の肩幅に影を作っていました。気づけば日時は11月4日の正午で、この年末年始と同じ、日が高く気配に雑味のない真空な爽快の中にいるようでした。

 それから真空の間ニカ月は、語るには感覚が過ぎて、伝えるには機微をうまく表せず、何か手をかざして暖をとっているような、でもなんだかこわくて近づけない、心の火鉢みたくほの明るい不滅の赤、といった感じ。

 放置していた仕事の校了をそれこそゾンビ同然で迎え、その後は会社を休んで家事育児という白昼夢のような日々は、腕のいい左官屋のコテのようにその新しい赤をぴたり塗り込んでくれたようです。


 昨年の暮れ、カメラを購入しました。ブログも再開することにしました。もちろん! この真空な爽快のせいで。


  それでは皆さん、本年もよろしくお願いいたします。



写真/ニカ月の祝いとねぎらいを込めて、パエリアとアヒージョを作りました。対面の妻はアップルタイザーを美味しそうに飲んでいました。

all text&photo by K.Fujimoto




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