2013年5月18日土曜日

酒場卒業式








卒業生、答辞。
全員、起立。



(男)思えば、この道に入って十年以上が経ちました。

(女)巡る季節を感じながら過ごした、かけがえのない日々。

(男)2013年5月18日。僕たち(私たち)は今日、この大好きな酒場を巣立ちます。

(女)思えばこの十年あまり、いろいろなアテがありました。


(全員)山菜とともに、春!

(男)タラの芽やふきのとうの天ぷらの苦みが、剣菱によく合いました。

(女)マツモト先輩が、赤貝のヒモになら縛られたい、そうセクハラしてきたことを微笑ましく思い出します。

(男)男子に流行ったのは、痛風! プール開きが待ち遠しかったです。


(全員)そして⋯入道雲とともに、ぬた!

(女)カワハギ肝醤油の注文に、精を出しました。

(男)初夏の暑い日、僕たちが大変よく覚えているフレーズがあります。

(全員)“たで食う虫も好き好きなれど、たで酢飲む客オレひとり”。

(女)鮎の季節、バッキー先生が繰り返しそう教えてくれました。


(全員)秋の遠足は⋯楽しかった、きのこづくし! 

(男)この頃にはセコ食いだってお手のもの。

(女)バター焼きの残ったタレで、白飯をかきこむタケシ君のカッコいい姿がありありと思い浮かびます。


(男)そして、何より楽しみにしていた修学旅行。

(全員)行き先は⋯西成!

(女)しんみどうでマッコリをひとり4リットル飲んだのはいい思い出です。

(男)常連の平田タクシーのおやっさんが、鉄板でてっちりをしていたのが受験の役に立ちました。



(女)毎日の酒場は、飲酒すること、街で遊ぶことの喜びを教えてくれました。

(男)時に「表出ろや」もありましたが、雨の日も、風の日も、一緒にいてくれた飲み仲間との交流は、代えがたい宝です。

(女)私たちが今日、この日を迎えられたのも、たくさんの方々の支えがあったからです。

(男)バッキー先生はじめ、諸先輩方、どんなときでも水割りを忘れず、時に暗黒舞踏で導いて下さりありがとうございました。

(女)そして、一昼夜飲み続けられる身体に育んで下さったお父さん、お母さん。ありがとうございました。

(男)最後に、歌を送ります。矢沢永吉で、『トラベリンバス』



(全員)キツい旅だぜ お前にわかるかい⋯



**********************************************


 なにわ筋にぽとりと椿の花びら、踏まれ赤茶けた街の捺し花、それもまた儚くて。気付けばすっかり夏がすっぽんぽんで仁王立ち。松屋町にそよぐ小さな鯉のぼりを見遣りながら、全開の窓で佐々木中に耽溺しておりましたところ、僕はいつの間にやら微睡んでいたようです。

夢の中とくればボ・ガンボスですが、飲み仲間と学ラン着て酒場卒業式に出席、日本酒飲みたさに口をぱくぱくさせて起き上がったのでした。

当然、留年。
酒場の単位を揃えるのはこれからになりそうです。







all text&photo by K.Fujimoto






0 件のコメント:

コメントを投稿