2012年8月10日金曜日

ふじもせんとくんの休暇/第四回 O女史。




「運河に吹き渡る風が、キョウチクトウの色を染める」






「さよならベネチア。リアルト橋は太鼓橋」





 ここでこの人のことを話しておかねばなりません。
これまで何度か登場した鉄面皮ツアコン。



 O女史、彼女は不惑の声を聞く妙齢ながら、豊富な経験と流暢なイタリア語で、イタリア旅に強い今回のツアー会社でも“エース添乗員”の呼び声高き才媛であります。

 外国に通暁した人特有の妙にサバケたノリと圧倒的上から目線は評価が分かれるところでしょうが、毎日配られる手書きメモには必要な情報以外愛想一つなく、現地ライセンスガイドに何もさせない歴史知識の豊富さには爽快感すら感じられます。


 そのファッションも、パンツルックにドライビングモカシンになりがちなツアコン界において、ノースリ&9cmヒールに膝上スカート、しかも食事やイベントなどツアーのTPOに合わせてスタイルに変化をつけているあたり、自らのツアコン能力への絶対的な自信が感じられ、その「重装備」感は“モンスター”多きこの世の中、「アタシ金払ってるお客ですけど」に対する経験が生んだ最終形態なんでしょう。




 しかしながら、質問はOKでも返事はイエスのほか言えない雰囲気は、「先生と生徒」つまり遠足時分の延長そのものであって、お互い契約のもとその関係を了解しているとはいえ、大阪のダイナマイトキッドと呼ばれたふじもせんとくんがおとなしく従うはずもありません。


「一線で身体を張ってきた女性は…ツンデレ」


 ツアー客の同年代女性が、箕輪はるかさん(第一回参照)しかいない今、年上専門家として名高い彼の暴言も致し方ありますまい。



 そのツアコン女史Oさんのタクトに従い、3日目は名残り惜しいベネチアを離れてバスで西進。フィレンツェまでの各都市を訪ねながら、ルネサンス以前の芸術を巡ります。

 入れ墨だらけでヤン毛なびく、80's LAメタルな運転手マリオの意外や快適な運転に、O女史のクセのある甘い声が子守歌。ヨダレをこっくり繰ったふじもせんとくんを、緑多き古都・パドヴァに運んでいました。



 エスターテヴァカンツア(夏休み)中の今、観光地でない都市はまるで閑古鳥、今日はともに学術都市でもあるので自転車鬼漕ぎの学生の姿ばかり。

 まずパドヴァではスクロヴェーニ礼拝堂へ。キリスト教芸術への雑感はいずれまた書きますが、ココは今日びのデザイン入った整備されたムゼオ(美術館)でした。しかし、礼拝堂一面に色鮮やかに残された、ジオットの吃驚すべき鮮やかなフレスコ画!


「それよりも、キリストの一生を観覧制限時間の15分で語りあげたOさん!」


 ふじもせんとくんも絶句する講談師ばりの早回し、一生を15分で語り上げられたイエス様がしょんぼり顔なのも磔刑のせいではないでしょう。


 はじけ飛ぶO女史のつばきの向こうに、宗教美術の構図に革新をもたらしたジオットさんの鮮やかな青色。

(第五回へ続く)
all Photo & Text by K.Fujimoto





「最終日フィレンツェでのO女史シャレオツバージョン。あ、ちなみに未婚だそーです」











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