2012年8月5日日曜日

ふじもせんとくんの休暇/第二回 ベネチア行進曲。


「日本とは、雲のかたちがまるで違う」





 (第一回の続き)
 校正と思想地図、テキストの海に溺れて血走った目を擦りもせず、乗り継ぎ口へ足早に進む。シャルル・ド・ゴール空港に着いたふじもせんとくん、辞書同然のページ数を誇る思想地図β3のほとんどを読み切り、通天閣とあべのハルカス、2つのシンボルタワーのパワーをテーマに作った天王寺特集の校了を思ってまさにトリップ状態です。

「通天閣のモチーフとなったエッフェル塔のあるパリ…」



「なんし、パース効いとる」



 トランジットとはいえ、このタイミングでたどり着いたのは何の因果なのでしょう。木造のトーチカ的な意匠に織り込まれたコンクリの壁が、決まって絶妙な曲線で仕上げられている空港は実にキマっていて、くっ。くっ。とシャッターを押していきます。

「自分が移動しているのに、時間が遡るって不思議だなあ」

 34番ゲート前の椅子に座るふじもせんとくん、半分脱げたスニーカーソックスがおそ松くんのイヤミ氏になっています。



 自転や宇宙の広がりに思いを馳せながら、愛用の時計・MWCのアラビヤ数字に時差の7をひいていく。知的高揚を楽しみながら、ベネチアはマルコ・ポーロ空港にエール・フランスは南下します。
 緑・茶・赤にパッチワークされたフランスの広大な平野、アルプスの深山幽谷に目を奪われながら、やがてベネチアングラス工場や寺院の尖塔を生やしたベネチアの街が見えてきました。


 ベルトコンベアより3つのリモアを引きはがしたベネチアは夜の8時。次のトランジットは、何とホテルへ向かうパワーボートです。
 遠くアルプスの中層にたなびく、まぶたのように腫れぼったい雲と水平線の間に輝くでぶでよろよろの夕陽。それこそビザンツ様式をとった人物画のアーモンドの瞳。あまりの美しさに絶句する間、ボートがめくり上げるエメラルドのラグーナの飛沫が、オアスロウのジーンズに塩の跡を作っていきました。



「デイズド&コンフューズド」



 仕事を終えたゴンドリエーレが卑猥な冗談を掛け合うサン・マルコ広場前の波止場を通り、左右に尖塔、鐘楼、美術館、高さや色が統一された建物が続く運河を行く。これらがすべて、松の木を海中に入れて作った人工島というからまったく驚きです。ふじもせんとくんの感想はこうです。

「伊根の舟屋はあやまれっ」

 お門違いにディスられた舟屋さんにまるで罪はありません。
 
 カレーのサンマルコのことを考えていたくせに、異国の地といえども上から目線のふじもせんとくんなのでした。

(第三回へ続く)
all Photo&Text K.Fujimoto



「雲だって煙突から煙り吐き出してら」









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